有機化学

【ウォルフ(Wolff)転位】α-ジアゾケトンの転位反応によるケテンやエステルの合成法

ウォルフ転位(Wolff Rearrangement)はα-ジアゾケトンからケテン及びケテンから誘導される生成物への変換法です。

α-ジアゾケトンに対して加熱や光照射するか、または遷移金属触媒を作用させることにより反応が開始します。

α-ジアゾケトンは不安定で反応性の高い化合物ですので、適切な反応条件を選択することが必要です。

酸化銀(I)等の金属触媒を作用させると加熱条件に比べて、必要な反応温度を低くすることができます。

光照射による活性化も低温で反応が進行するために有効な手法ではありますが、光に不安定な官能基を持つ基質に対しては注意が必要です。

酸塩化物とジアゾメタンとの反応で生じるα-ジアゾケトンのWolff転位は特にアーント・アイシュタート合成(Arndt-Eistert Synthesis)と呼ばれ、カルボン酸の一炭素増炭反応として有用な手法です。

反応機構

  1. α-ジアゾケトンを加熱や光照射するか酸化銀などの遷移金属触媒と反応させると、窒素分子を放出してα-ケトカルベンが生成します。
  2. 生成したα-ケトカルベンが1,2-転位を起こしてケテンとなります。
  3. ケテンは反応性が高く単離が難しいので、水やアルコール等で後処理することで対応するカルボン酸やエステルを得ることができます。
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うしとよ ushitoyo
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東京在住のアラサー男。 雑記ブログ。
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