有機化学

【バートン-マッコンビー(Barton-McCombie)ラジカル脱酸素化】チオカルボニルを経たアルコールの還元

バートン-マッコンビー(Barton-McCombie)ラジカル脱酸素化反応は、アルコールをチオカルボニル化合物へと変換後、ラジカル的に還元してアルカンを合成する反応です。

まず、アルコールに対して塩基とチオカルボニル酸クロリドまたは二硫化炭素を作用させることでチオエステル誘導体に変換します。

調製したチオエステル誘導体を、トルエン溶媒中トリブチルスズヒドリドと触媒量のAIBNとともに加熱還流することで還元反応が進行し、アルカンが得られます。

立体的に嵩高い第二級・第三級アルコールにおいても本反応が適用可能です。

反応機構

  1. まず加熱によりラジカル開始剤であるAIBNが均等開裂し、窒素分子が放出されると共にシアノイソプロピルラジカルが生じます。
  2. 生成したシアノイソプロピルラジカルがトリブチルスズヒドリドから水素を引き抜くことでトリブチルスズラジカルが生成します。
  1. トリブチルスズラジカルがチオエステル誘導体の硫黄に付加して、強いSn-S結合を形成し、チオカルボニル基から3級炭素ラジカルが生成します。
  2. その後、炭素-酸素結合がラジカル的に開裂してアルキルラジカルが生成します。
  3. アルキルラジカルがトリブチルスズヒドリドから水素を引き抜くことで還元生成物であるアルカンを与えます。この際に、トリブチルスズラジカルが再び生成し、ラジカル反応が連鎖的に進行します。
ABOUT ME
うしとよ ushitoyo
うしとよ ushitoyo
東京在住のアラサー男。 雑記ブログ。
こちらの記事もおすすめ!

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です